第三話 ー やさしい原動力 ー 素直な心と、そっと声に寄り添う力。好きが紡ぐものづくりの様子。  interviewed Maison terrier 横尾かな


クリエイターさんにお会いし、 その経験や想いをキリトリ「つくる」ヒントをいただくインタビューコンテンツ。ゲストは、とてもチャーミングな犬をモチーフにしたお菓子や雑貨を制作されているMaison terrier 横尾かなさんです。第三話では、クリエイターとして活動する日々についてお話を伺いました。

<横尾かな さん>

東京都出身。都立工芸高校インテリア科を卒業後、武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科でテキスタイルを学ぶ。卒業後はアパレルショップでの接客や、東京・国立の人気菓子店「foodmood」にて広報として勤務。その後、犬をモチーフにしたお菓子やグッズをつくるアトリエ【Maison terrier】をスタート。書籍『My Little Dogs – Maison terrierのちいさないぬたち』を出版し、オンラインショップや百貨店、ギャラリーでのポップアップイベントなどで作品を展開。



どんなときにアイデアは生まれますか?

「日々、色々なものや声を見聞きして色々な要素がわたしの中にたまっていって。ふと制作から離れてシャワーを浴びたときに、これまで見たり体感して心にのこっていた物事がつながった!となることが多いです。つながると、つくらなきゃ!ってなるんです。」

ー シャワーから出てメモをとったりするんですか?

「すぐに作っちゃいます(笑)。わたしは、思いついたら作りながら調整していきます。」

お話を聞いていて思うこと、それは横尾さんに「あとでやろう」があまりない。ワクワクしたら、その想いごと作品に詰め込んでいるようでした。



クリエイターとして自信がついたのはいつですか?

「家族がすごく褒めてくれるタイプで、お菓子をつくると、かわいいってすごく褒めてくれるんです。『みんなかわいいって言ってくれた!大丈夫!』っていう気持ちで、一歩一歩進んできました。そのおかげで”自信がない”ときがありませんでした(笑)。

お客さまからの声も『つくりたい!』と思う原動力になっています。

わたしの本を見て、読んでくれた方のお子さんが紙粘土でお菓子をつくって見せてくれたとき、すごくうれしかったんです。

こうしたらもっと作りやすいかな?と考えてみたり、こんなのみなさん作ってるんだ!じゃあこれも好きそう!と作り出すんです。お客さまがお菓子を見てにこにこしてくださる姿がやっぱり好きなんです。」


個展の準備をする様子


横尾さんは”好き”へまっすぐ進みながらも、周りの声を丁寧に耳を傾けています。笑顔になってほしい人たちの声を聞いて、応えたいという気持ちが創作につながっていました。そして、インタビュー中にぽろっと

「わたし、自分がつくりたいものをつくっていなくて。”よろこんでくれそう!”と思うものをつくっているんです。」

その言葉に、少し驚きました。“好き”にまっすぐ突き進んでいる方だと思っていたからこそ、意外でした。

でもそれは、犬のお菓子やそのデザインに深い愛をもちながら、そこへ笑顔になってほしい人への思いを重ねているということ。自分を満たすだけでなく”よろこんでほしい”と思いながら生まれる創作だったのです。



続けていくことに不安や悩みはありますか?

「作らなくなったらやめ時だなと思っています。これがダメになってもわたしの”好き”はこれだけじゃないです。わたしの”好き”は1つだけじゃない。だから『続けなくちゃ』にとらわれていないので、続けていくことに不安や悩みをあまり持っていないんです。」


好きなこと・趣味を見つけたいという人へのアドバイスはありますか?

「好きなものに出会わなければ!というプレッシャーを持つ必要はないと思います。見つけなくっちゃ、探さなくっちゃって思わなくっていいと思います。でも、動いた方がいいと思うんです。そうすると、出会っちゃいます!」



もし今クリエイターの道に進むか悩んでいる人がいたら、なんと声をかけますか?

「大丈夫だよ。なんとかなるよ。ってお伝えすると思います。わたしもなんとかなっています!趣味の延長でもいいと思います。仕事を辞めなくってもいいと思います。わたしも独立する前は働きながら休日の息抜きでやっていました! なってみて思うことは”クリエイターになる”ことへのハードルは意外とないんだと思います。」


横尾さんのお気に入り「FUJIFILM X100F」


あとがき:

全三話にわたって、Maison terrier 横尾かなさんへのインタビューをお送りしてまいりました。とても清々しく、曇り雲を心地よい風ではらってもらえるようなインタビューでした。

日々にもし、小さくても大きくても迷いが生まれたときは是非こちらの記事に戻ってきていただければと思います。自分らしい道は、案外目の前にまっすぐ引かれているということ。抱えた「やらなくちゃ」の重荷に気付き、「やりたい!」に焦点を定めたくなる、そんな晴れ晴れする時間が流れる記事となりました。




Written by : EandY
Photo by : junjun


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